技術職を目指す大学生が学ばなければならない 技術者倫理 その5

技術者が技術者倫理に沿った行動をとるためにはどう考えたらいいか?

前回は、倫理問題についてどういう手順で考えていったらいいか解説しました。

今回は、具体的にステップを分で考えていきます。

ステップ1 問題の認識

どうしたらいいか悩んでいる下請けの担当技術者Aは

まず、何に悩んでいるか文章にしてみたり、イメージを具体化させることが大切です。

ステップ1 問題の認識

ステップ2 事実関係の整理

現在起きている問題が明確になたら、

実際に起きている事実関係を文章に書き出して整理します。

設計図はどうなっている。

現場の状況は、それに対して自分はこう考えている。

ジレンマの相手はどう考えているか推測する。

ステップ2 事実関係の整理

ステップ3 倫理問題の特定

事実関係の整理ができたら、

自分が技術者の立場で従うと決めた倫理規定に基づいて

どの規定に反するか特定する。

今回の場合、次の3つの倫理規定に反することがわかる。

  • 1.使命・役割(美しい国土、安全・安心な生活、豊かな社会を作ることで社会に貢献する、依頼主の誠実な代理人・受託者として行動する。)
  • 2.自律性(自己の信念と良心に従って行動する)
  • 5.説明責任・情報開示

一方、企業の従業員の立場では

会社及び上司に対する忖度がある。

具体的にどんなジレンマに陥っているか書き出してみる。

ステップ4 具体的行為の選択

自分がどういう状況下にあるか明確になったら、

次は、技術者として具体的にどういう行為を取れば良いか、従うべき倫理規定に沿って書き出してみる

技術者としての立場を優先して、信念を持ってとるべき行動を選択する。

この時、肝心なことは、

一人で悩まず、周囲を巻き込む。

そして、誰に相談して、どう考えてこの行為に至ったか?

必ず記録を残し、将来の不利益が生じた時のため、自己防衛をしておくこと。

ステップ4 具体的行為の選択

公益通報者保護制度とは?

企業者の立場より技術者の立場を優先することは、

企業にとって内部告発ともとられる行為になります。

企業内の従業員として、将来の処遇に不利益になる可能性があることから

非常に勇気の必要な行為です。

最近では企業労働者に倫理に則った行為を促進させるため、

そして国民生活の安心や安全を脅かす企業の法令違反と被害の防止を図る観点から、

内部告発を行った労働者の保護制度として「公益通報者保護制度」が整備されつつあります。

しかし残念ながら、今回のような倫理違反行為を対象にしていません。

明確な法令違反、犯罪行為に限定されます。

しかし、倫理を重視する社会をつくる先駆けと考えられます。

将来の社会はIoT環境の元、「お天道様がみている」の通りに、

倫理感のない企業は、いずれ淘汰される風土が作られつつあると感じています。

おわりに

最後まで付き合っていただき、ありがとうございます。

今回のお話のポイントは次の3点です。

ここだけ覚えていただけたら幸いです。

おわりに

【参考文献】

  1. 堀田源治、工学倫理、光学図書株式会社、2006.
  2. 杉本泰治、企業倫理―考え方と事例、丸善株式会社、2005.
  3. 土木学会技術推進機構継続教育実施委員会 委員長 大島一哉 継続教育教材制作小委員会 委員長 佐々木寿朗、土木技術者倫理問題−考え方と事例解説−、丸善株式会社、2006.

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