技術者倫理の基礎知識 2 〜倫理には階層がある〜
技術者倫理の2回目です
前回に続き、もう少し「倫理」の持つ性質について解説します。
1.人は集団を作る=社会性
倫理の特徴として、倫理は立場ごとに階層を形成しています。
その理由を一人の技術者として考えます。
技術者は人間であり、社会人であり、組織人であり、ある分野の専門家でもあります。
それぞれの集団で、それぞれの立場があります。
そして、それぞれの集団にそれぞれの行動規範(=倫理)があり、
それらは階層を形成しています。
倫理には階層があるのです。
2.倫理には階層がある
一般的な技術者の階層を下図に示します。
下から順番に、人間・地球人としての立場における「生活倫理」、
社会人としての立場における「社会人倫理」、
組織人・企業人としての立場における「企業倫理」、
専門家としての立場における「技術者倫理」、
それぞれの立場における倫理があります。
3.立場の違いによるジレンマ
複数の集団に属して、それぞれの立場があると
場合によっては立場の違いからジレンマ(板挟み)に陥るケースがあります。
Aの立場では「善」だがBの立場では「悪」となる。
どちらの立場を取るべきか悩むところです。
このところ、技術者が関与する企業不祥事が頻発しており
喫緊の課題となっています。(名門トヨタの不正車検事件など)
これらの不祥事は企業倫理と技術者倫理のジレンマが発生原因となっています。
この先のブログで、倫理階層の対立であるジレンマが生じた時、
技術者はどう対処していけばよいか事例を交えて考えていきます。