ISO9000は、何のために取得するか? (2)

中小企業が最初にやることは5S活動

品質うんぬんをいう前に、

工場が効率の高い製造活動ができる場所になっていることが出発点です。

モノを製造する現場として、効率の高い製造活動ができる場所とは?

モノを「きちんと保管して」「運搬して」「取り扱って」「使うこと」ができる場である必要があります。

そうなっていなければ、5S活動でまず現場を整えましょう。

5S活動によって効率的にモノを作れる場所ができたら、次のステップで品質を考えていきましょう。

5S活動とは?

Sのつくキーワードの集合で、2S+2S+1Sからなります。

基本は、最初の2S(整理・整頓)です。

整理:要るモノと要らないモノを区別して要らないモノを捨てる

整頓:要るモノを使いやすい場所にきちんと置く。

続いて、その状態を保つ活動2S(清掃・清潔)。

清掃:身の回りのモノや職場をきれいに掃除して、いつでも使えるようにする。

清潔:整理・整頓・清掃をして、誰が見てもきれいでわかりやすい状態に保ち、保たれていないと「気持ち悪い」と感ずるようになる。

最後が、人の問題である1S(しつけ)です。

しつけ:職場のルールや規律を守り、習慣づける。

何のために5S活動をしなければならないか?

ここはしっかり共通認識を持たなければなりません。

経営者が説明を省いて、トップダウン的に行うと、

従業員には、やらされ意識になり、モチベーションが続かないケースがあります。

経営者は、しっかり説明して全員で参加する活動にしていくことが大切です。

単純に、「見た目が悪い」「みっともない」ではついてきてくれません。

是非とも、トップの言葉で、なぜやりたいかを表明しましょう。

例えば、

①「仕事をやりやすくする」

箱に表示がなくて、いちいち中身を確認しなくてはならない。

そこで表示をつけることによって、誰が見てもわかりやすくする。

「見やすく」[探しやすく]「わかりやすく」職場にする。

②「安全でムダの少ない職場を作る」

「やりにくい」仕事を「やりやすく」することで、「安全でムダの少ない」職場ができます。

例えば、

通路、作業区域、保管区域が明確でない場合は、

それらの区画線を引くところから取り組みます。

通路はなぜ必要なのでしょう?

通路が無いと、物を運ぶときに

他の物をどかしたり、迂回したりというムダが生じます。

また、いざというときの避難経路が確保できません。

そして、見学者が作業区域に入ってしまうという危なさもあります

③「お客様のサービス向上のため」

5S活動を通じて

「間違える」「探す」などのムダが減ると

スピーディにお客様の要求や問合せにお応えできます。

それが、お客様の信頼につながります。

④「現場ができる最大の営業活動だから」

お客様(または引き合い客)が工場に来て、

何を見るかというと、5Sの状態です。

職場にゴミ・チリがなく、従業員皆が愛想よく挨拶ができる。

この会社さんならお仕事任せても大丈夫だな、

と信頼が得られるのが5Sです。

儲け続ける強い会社の共通点

「儲け続ける強い会社」には、ある共通点があります。

「ムダの少ない会社」である、つまり、

「管理のベースに5Sがしっかりと定着している。」ところです。

ムダが少ない、から利益がついてくる。

利益が上がる仕組みは、次のミラミッドように考えられます。

組織で生産活動を営む「会社」は、次のような段階を踏んで、利益を生み出せるようになります。

一番下の土台は、作業手順や業務の決め事等、守るべきルールが明確になっていること。

次は、守るべきルールを守る習慣が出来ていること。

次は、新人でも誰でも 同じように仕事をすることが出来ること。

ここまでを、製造基礎体力と呼びます。

まずは、5S活動でここまでレベルアップを測ります。

そして、改善活動によって、

ムダが無く、常に改善が進んでいること。

従業員にとって、達成感のある職場であること。

ここまでくると、利益がついてくるようになります。

ピラミッドの土台がどのくらいしっかりとしているかで、

会社の利益の大きさが、変化すると言っても過言ではありません。

「儲け続ける会社は5Sがしっかり定着している!」と言われる理由です。

会社が成長するための仕組み

次の図で会社が成長する仕組みを説明します。

会社は、ゴーイングコンサーン(継続企業の前提)が生存するための意義です。

継続するためには、成長することが求められます。

成長には利益が不可欠です。利益なくして企業の存続は出来ません。

下図で仕組みを説明します。

最初に会社は、経営者が自分の資金で立ち上げます。

続いて、金融機関からお金を借入て、

集めた、資産=(自己資本+借入金 )を使って、工場や機械、材料を買って、事業をスタートさせます。

資産を活用して、売上を上げます。

売上から費用を引いたものが 総利益になり、

総利益から、給料や管理費・販売費を払います。

残ったお金が営業利益になります。

営業利益から税金を引いた残りが 純利益です。

この純利益を資産へ配分します。

使い道は大きく3つに分かれます。

①次の事業への投資(機械やノウハウ取得)

②借入金の返済、株主への配当

③内部留保、この度のコロナ禍のような会社存続の危機にあたっては、

ここから、固定費を補填します。倒産防止のための安全弁の役割を果たします。

これを繰り返して企業は成長します。

「企業が継続するためには利益が必須なのです」

ではどうやったら利益が出るか?利益を出す仕組みは単純です。次の2つ。

①現状の資産・人員のまま売上を伸ばす

②費用を減らしながら、同じ品質と量を生み出す。このためには、効率化しかありません。

つまり、5S活動が最重要ということです。

そして従業員にとっても、効率化して費用を減らせば、

税金で持っていかれる前に、その分を給与や営業利益に回せるのです。

効率化なくして、給与の維持・アップはできないのです。

これが、全社を挙げて5Sに取り組む理由です。

次回から、5Sについて

それぞれの活動の考え方、推進のの仕方について説明していきます。

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