5Sの実践(4)定点撮影

定点撮影とは

続いて、5 S の具体的活動及び評価活動で用いる定点撮影について見てみましょう。

定位置・定角度にカメラを設置し改善対象そのものに焦点を当てて撮影します。

定点撮影では、対象物を毎回同じ視点から撮影することで、

改善がどの程度進んだか?変化があったか?を比較します。

定点撮影の目的

定点撮影の目的は、5 S の進行具合を確認し、

問題点・結果の可視化を行うことで、

確実に5S活動の成果を上げ、定着を図ることです。

具体的には、

① 問題点の共有化のための記録

問題点、あるいは推奨すべき事象を記録して、5Sの知識の共有化を図ることです。

② 改善の様子の記録

「整理」「整頓」「清掃」のそれぞれのレベルが改善されたかを記録します。

③ 良好な状態の維持のための記録

「清潔」「躾」が維持されているかを記録します。

定点活動のポイント

定点撮影を効果的に進めるためには、

導入教育を実施しておくことが大切です。

5 S の定義、対象と観点、5 S チェックリストの使い方や、定点撮影の撮影ポイントなどを、

事前に十分理解し、知識が定着してから定点撮影を実施することで、効果が高まります。

そのため、撮影した映像は、

問題点の共有化のための記録、改善の様子の記録、

良好な状態の維持のための記録として用います。

具体的な撮影ポイントは、

① 毎回同じ対象物を撮影する。

② 毎回同じ高さ角度から撮影する。

③ 時間を置いて撮影する。

④ 同じカメラで継続的に撮影する。

定点撮影の具体例1

定点撮影した写真は、撮影順に並べ、

発見した問題点や問題解決のための改善アイデア、

残った課題などのコメントを記入しておくと良いでしょう。

また、最初の段階で、各段階の撮影予定日を決めておくことがポイントです。

改善が行われても、行われなくても、予定日に撮影をすることで、

改善ができた場合は、変化しつつありますし、

改善ができなかった場合にも、なぜ改善できなかったかを反省することができるのです。

写真は組織の誰もが見てわかるように掲示しておくことをお勧めします。

所属する5 S 推進チームを超えて情報交換が可能となり、

改善アイデアなどがより具体的で現実的になります。

定点撮影の具体例2

撮影に際しては、状況に応じてアップ映像も撮影すれば、

改善の詳細がより分かりやすくなります。

アップ映像については、改善の前と後がどちらも揃っているのが望ましいですが、

改善後だけでも良いでしょう。

定点撮影においては、状況に応じて改善による変化がわかり、

更なる改善に役立つ写真を撮影できるよう工夫していくことが重要です。

定点撮影のステップ

実施にあたっては、

事前ミーティング、

定点撮影の実施、

5 S 改善ミーティング、

組織的5 S 活動、

自主的5 S 活動の実施、

定点撮影の再実施と進み、

再び5 S 改善ミーティングに戻るというステップを繰り返します。

各ステップを経て、定点撮影が実施され、5S改善ミーティングにより、

問題点が明確化されたら、

問題点がなくなるまで活動を継続していくことが重要です。

各ステップを具体的に解説します。

ステップ1 事前ミーティング

実施組織は5S推進室になります。

参加者は全員です。

ミーティングの内容は

①定点撮影の目的確認、

②問題箇所の選定、

③問題箇所の写真撮影

となります。

ステップ2 定点撮影の実施

定点撮影の実施は、ステップ1で決めた問題箇所を対象にします。

撮影にあたっては、次の4つのポイントを抑えます。

①同じ高さ、②同じ角度、③時間を置いて、④同じカメラで

ステップ3から5 改善ミーティング、5S活動、定点撮影再実施

定点撮影が終わると、その撮影結果をまとめて

ステップ3の改善ミーティングを開催します。

改善ミーティングでは

5S推進室全員で、撮影結果を評価します。

具体的には、

①撮影した写真の貼り付け、

②改善内容の検討、

③改善実施計画の作成

④次回撮影日の決定

となります。

改善ミーティングが終わると、

ステップ4です。

改善計画に基づいて、5S活動を実施します。

続いて、ステップ5で再び定点撮影を実施します。

ステップ3から5のループを継続することで、

5 S が確実に実施され、定着していきます。

マンネリ化への対応 

5 S の具体的活動を進める実際の現場では、

時間の経過に従い、活動がマンネリに陥ることがあります。

その打開策として、活動テーマを多様化させるという方法があります。

具体的な事例で解説します。

マンネリ化対策1

例えば、職場別キャンペーンと題して、

活動テーマを特定の職場に指定し、集中的に行う方法があります。

工場や倉庫に物が溢れかえっていて、何があるのか把握できていないという場合や、

場所の有効活用したい時などは、

特定の職場を指定して集中的に活動するという、

職場別キャンペーンが効果的です。

マンネリ化対策2

他にも、対象別キャンペーンと題して、

活動テーマを4 M +場所+情報の中の特定の一つに指定し、

徹底的に行うという方法があります。

マニュアルの不備で問題が多いという場合は、

情報をテーマとして取り上げ、5 S 活動を集中的に行います。

あるいは、工具を使うたびに探し回らなければならないというような問題がある場合は、

工具を活動テーマとして取り上げ、5 S 活動を徹底的に行います。

このように、いつもの活動に様々な角度から違った活動テーマを設定することで、

目先が変わり、再び意欲的に5 S 活動に取り組むことができるようになるという効果が期待できます 。

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