はじめての5S(1)5Sの全体像
製造業の置かれた状況
今年に入って、コロナウイルスの大流行により、経済活動は大きく停滞を続けています。
大恐慌や戦争に相当するような、社会の価値観が劇的に変化する「パラダイムシフト」の様相を呈しています。
とりわけ、製造業は大きな影響を受けています。
ワクチンが開発され、コロナがインフルエンザと同等なウイルス感染になったとしても、
たぶん、変化する前の社会(ビフォーコロナ)には戻らないでしょう。
アフターコロナの社会はどうなるか?考えてみましょう。
①I T化へのながれが加速する、アナログからデジタルへ、
②働き方の見直し、都会で暮らす意味を考える、出社する意味を考える、
③時間の使い方を考える、何が無駄な時間か?移動や会議、余暇時間の増大、
④監視社会を前提とした暮らし方、
一方、変わらないことも残ります。そこはしっかりと見分けましょう。
変わらない点は次の2点です。
①供給過多時代の加速、多様化する消費者の要望。
これによって、製品のライフサイクルは短くなり、
調達は、国内外問わず、高品質で、廉価で、短納期なものが選ばれる。
②そして、社会の変化に対応できない企業は淘汰される。
ものづくり現場は、社会の要望にあった現場へ、根本から作り込む必要に迫られています。
ものづくり現場を樹木に例えると
ものづくり現場を果樹に例えると、
たくさんの果実(利益)を生む強い幹を育てるためには、土壌づくり、つまり企業の基礎体力の養成が重要になります。
たくさんの果実(利益)を生む強い幹を育てるためには、
土壌づくり、つまり企業の基礎体力の養成が重要になります。
この土壌づくりに欠かせない肥料が5S活動です。
5S活動の基本姿勢
5S活動を継続するにあたり、身につけなければならないことがあります。
5S活動の基本姿勢と呼ばれる、心構えです。
その基本姿勢は「正、早、楽、安、安」の5つです。それぞれを解説すると、こうなります。
①正しく→決められた手順・方法で
②早く→無理のない早さで
③楽に→疲れることない早さ・姿勢で
④安全に→怪我や危険なく
⑤安価に→目標となるコストで
無意識にこの基本姿勢が取れることが、作業上の揺らぎをなくし、改善のための土壌づくりの基礎になります。
この基本姿勢を理解できてから改善活動に進みます。
改善活動は1回では終わらず、常に繰り返すことで、良いものを追求します。
P D C Aサイクルといって、P:計画→D :実行→C:結果の評価→A:対策→P:計画→・・・・を繰り返します。
5Sの全体像
5S活動を継続して、最終目標を含む全体像を俯瞰してみましょう。
①5S活動によって揺らぎをなくし、基礎体力を養い、作業を安定して遂行できるようにすると、
②改善の方向性が明確になることで、改善活動(Q CやI S O9000s)により問題解決できるようになる。
③最終的には、効率的な利益(R O IやR O A)を出せるような生産現場になると言うことです。
それぞれの段階で、それぞれの価値有働に対して、評価指標を持って評価する必要があります。
「改善活動」の評価指標
最初の5S活動における評価の仕方は、後ほど詳しく説明します。
ここでは、次の段階の活動である改善活動の評価指標を解説します。
改善活動において、評価の指標がいくつかあります。
それは、頭文字をとって、P Q C D S Mと呼ばれます。
P:生産性、Q:品質、C:原価、D:納期、S:安全性 、M:働く人の意欲
の6つの指標です。
このの6つの指標を向上させる目的で、改善活動を行います。
その結果、効率が高く、働きやすく利益が上がる生産現場を作りこむことが出来ます。
経営の目標
経営の目標は、次の2つの指標で評価できます。
①R O I:投資収益率(利益/資本金)
②R O A:資産対収益率(利益/資産)
いかに少ない元手で効率的に収益を上げたかで、生産現場は評価されます。
今回のまとめ
5S活動によって揺らぎをなくし、基礎体力を養い、作業を安定して遂行できるようにすると、
改善の方向性が明確になることで、改善活動(Q CやI S O9000s)により問題解決できるようになる。
そして、最終的には、効率的な利益(R O IやR O A)を出せるような生産現場になると言うことです。
5Sが欠如したまま不安定な作業を継続している状態では、
改善活動を行ってもその効果は部分的だったり、また元の状態に戻ってしまう結果になりがちです。
したがって、最初の1歩は5S活動から始めましょう。
次回は、生産現場で生ずる問題である「3ム」について解説していきます。
※【参考文献】 独立行政法人中小企業基盤整備機構公式チャンネル、現場で学ぶ5S、YouTube、2011.