中小企業経営者が知っておきたい「IoT」の世界 3 〜ビッグデーターはどう使われるか?〜
IoT社会では、データはどんどん貯まる
前回解説したように、IoT社会になると、使用目的不明のデータがクラウド上にどんどん貯まるようになります。
現在、そのデータは、全体の5%程度しか使われていないと言われています。
代表的な使われ方は、ネット購買におけるマーケティング、
そうです、アマゾンなどで購入する時の「あなたにおすすめのものはコレ」です。
確かに情報が溢れる社会では、選択肢が多すぎて、選ぶ楽しみより、時間の方に価値があります。
購買履歴からその人の嗜好が解析できるなら、お勧めしてもらった方が、直線的に欲しいものに出会えます。
クラウド上のデータ、最近の使い方では、コロナ騒動の緊急事態宣言で「接触8割削減」が提唱された件で、有効利用されています。
「新宿駅で、人の集積度は宣言前から65%減となっています」といったニュースが流れますが、
そのエビデンス(証拠)はどうやって得たか?
ビッグデータの存在
携帯電話会社はスマホから発信されるいろいろなデータを持っています。
例えば、GPS機能のあるスマホからは、そのスマホの現在位置が、クラウド上に集められます。
そのデータを分析すれば、人の動きを把握できる訳です。
スマホひとつとっても、現在位置、気象情報、時間、加速度、画像などのデーターが、クラウド上に集められているのです。
使用目的は決まっていないデータですが、目的が定まれば、あっという間に分析して、目的に合った答えを出せる状況になっています。
これらはビッグデータと呼ばれ、いろいろな可能性を秘めたインフラ(社会資本)と位置付けることができます。
ビッグデータアナリスティク時代
ビッグデータを使いこなすために必要になるのが、アナリスティック技術です。
アナリスティックとは「データの中に意味のあるパターンを見出し伝えること」です。
お隣韓国では、この技術を利用して、コロナ感染者がどこで誰と接触したかわかるアプリが開発され、感染拡大防止に大きく貢献したようです。
たまり続けるビックデータを、社会のために有効に使う、ビックデーターアナリスティック時代の到来です。
データの価値、今と昔 データも所有からシェアの時代へ
数年前まで、音楽はレコードやCDなど記録媒体を買って所有することが当たり前のことでした。
それが、デジタル化されPCやスマホで聴ける時代になると、クラウド上の音楽データーは集められ、いつでもどこでも好きな曲を聴ける環境になってきました。
今流行の定額制サービス、サブスクリプションが当たり前の時代になり、所有するよりみんなでシェアする方が、安くて便利です。
聞く人、作る人、世間の三者が満足する、「三方よし(近江商人の商売理念)」の理想的なビジネスモデルといえます。
製造業でいえば、生産ラインに観測点を置き、生産上の各種データを収集・保有して、分析・改善する活動することがオペレーションの基本でした。
先ほど話したように、データはインフラです。集めて、皆でシェアして、有効に使うことで、価値が生まれます。
将来は、個人で所有していたローカルなデータも、ビッグデータに組み入れられて、
自社・他社・様々な組織・国が持つデータ、気象データ、スマホや車から得られるデータ、あらゆるデータが、クラウドに集められ、有効に利用される社会になるでしょう。
その方が、安くて便利だから、いまさら逆方向へは戻れない、大きな流れになってきています。
次回は?
次回は、このビッグデータを最大限利用するため必要となる、プラットフォーム(利用基盤)について解説します。