中小企業経営者が知っておきたい「IoT」の世界 6 デジタルツイン 〜デジタルとアナログの融合〜

IoTで何をやるか?

中小企業経営者にとって、IoTで何をやるか?最初の一歩を踏み出せない理由もここにあるようです。

そんな時、私ならこう言います。最初の一歩は「5S活動から」。

そうです、あの、「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「躾」です。生産現場改善の基礎となる考え方です。

5S活動で現場に「揺らぎ」がなくなってからが、IoTの出番です。

その後、5Sで見つかった課題をIoTで解決してゆきます。

そして、IoTで目指す最終目的は「デジタルツイン」の実現です。

デジタルツインとは?

デジタルツインとは、アナログとデジタルを双子(ツイン)のように境目なく同じものとして扱えるようにするということです。

デジタルツインと言えば、「アポロ13号」の奇跡の帰還における、「アポロ13号」と「地上コントロールセンター」との協働による問題解決方法を思い出します。

事故は地球から33万km離れた宇宙で起こったもの、事故機を地球へ無事帰還させることが課題になりました。

解決の鍵は、実機と同じダミー機がコントロールセンターに用意されていたということでした。

ダミー機を使って、問題解決の趣味レーションをして、その結果が直ちに宇宙のアポロ13号へ送られ、実機で試す、この試行錯誤の結果、奇跡の帰還がかなったという話です。

実機がアナログ、ダミー機がデジタルです。双方を同じものとしてダミー機でシュミレーションして実機にフィードバックする。まさしく、デジタルツインのお話でした。

デジタルツインのイメージは次の図のようになります。

IoTシステムを使って、リアルの現場と同じものをデジタル上に再現する。

リアルで生じた課題を、デジタル上でシュミレーションして解決策を見つけ出す。

それをリアル現場へフィードバックする。やり直しのできない現場で試せないことを、デジタル上で試行錯誤する。

危険を犯すことなく解決策を見つけ出すことができるようになります。

まさしく、デジタルとアナログの融合です。

デジタルツインをどう使うか?

リアルの現場ではオペレーションを止めることは許されません。

しかし、デジタル空間にデータやアプリケーションを再現してしまえば、それらのデータを使って時系列をさかのぼったり、将来予測をすると言ったことが可能になります。

時間の制約にとらわれず、想定したシナリオにそってシュミレーションすることができます。デジタル空間上で困った事象の原因追及や解決策発見や将来予想が可能になります。

これができれば、的確な経営判断ができる最強のツールになるでしょう。

デジタルツインのメリット

デジタルツインのメリットをまとめると次の3つになります。

① 過去にさかのぼって原因分析ができる

② 将来起こりうる事象を予測できる。

③ 将来の起こりうる事象に対して複数のシナリオを比較して経営判断することができる

この最強の経営ツールを実現するために必要なものが、IoTの導入です。

IoTはアナログからデジタルへデーターを呼び込むために活用します。

つまり、IoTはデータに基づく的確な経営を実行するための手段なのです。

デジタルツインのデメリット

データーに基づく判断をしようにも、最初はデータが少なかったり、自社だけのデータだけで偏りがあったりするため、シュミレーションの精度が十分に上がらない点がでもリットです。

シュミレーション精度を上げるには、上流・下流の企業データや外部のデーター(例えば気象データ)を取り込まなければなりません。

データは共有されてこそ価値を生むのです。情報自体に価値が生まれ、売ったり買ったりしながら連携し合うことで価値が高まっていくものです。

そこから生まれる恩恵は、社会全体に求められることになるはずです。

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