手書きPOPは野菜販売における最強の販売促進方法 1 〜農業生産者の現状と課題〜
農業生産者の現状と課題
世界的な人口増加等による食料需要の増大、気候変動による生産減少など、
国内外の様々な要因によって食料供給は日本の大きな課題となっています。
ロシアのウクライナ侵攻以後、食の安全保障問題が話題になる中、
その担い手である農業生産者の数は激減を続けています。
農業従事者数のデータを見ると、
2000年240万人、2010年205万人(前年比▲15%)、2020年136万人(前年比▲34%)となっています。
(※農業従事者とは農業を主体にしている人のこと。耕作地面積30a以上、年間農産物販売金額50万円以上の農家)
また、年齢構成も高齢者が大半を占めており、
「高齢者のリタイア」と「新規就農者の離農」を要因として、
今後の減少率はさらに拡大が予想されます。
なぜ農業従事者が減り続けるのか?
生産者からは、次のような声を聞きます。
「農業では生計が成り立たない(食べていけない)」
「後継者には儲からない農業を継がせたくない」
このシリーズでは、
儲かる生産者になるには
どうしたらいいかを考えたいと思います。
収益を伸ばすためマーケティング戦略
収益を伸ばすためには
顧客のニーズを的確に満たし、
競合と差別化された商品・サービスを創造し、
そのニーズに合った商品の製作、広報活動を行うことが大切です。
この活動をマーケティングと呼び、
農業生産者においても自身で販売しようとする場合は、
マーケティングを意識して戦略を立てることが重要です。
マーケティングは次の4つの要素から成り立っており
「プライス(価格)」「プロダクト(商品)」「プロモーション(販売促進活動)」「プレイス(立地とか流通)」
その要素ごとに戦略を立てます。
今回は、小規模農家が「自ら販売する農家」になるためのマーケティング戦略として、
「プロモーション(販売促進活動)」について解説します。
農業生産者の販路
小規模生産者が生き残るには、自前の販路を持ち、
自身で価格を決めて販売する、
製造・販売のスタイルに進化することです。
まず、販路について考えます。
近年の生産者の主な販路は次の3つです。
「農協への卸」「スーパーへの卸」「野菜直売所への委託販売」
生産者が、いきなり販売を手がけるにはハードルが高く、
多くの生産者は農協への卸売りが一般的です。
「自ら販売する農家」に推奨する販路は
野菜直売所やスーパーマーケットにおける委託販売です。
しかし、野菜販売所にご自身のコーナーを持てたとしても、ただ生産物を並べるだけでは売上につながりません。
どうやって「他の生産者と差別化して」高くても買ってもらえるかが重要です。
生産者が隣り合う競合と差別化して販売力を強化するために注目されているのが、
インストアプロモーションです。
次回は、野菜直売所におけるインストアプロモーションについて学びましょう。