現場で使える建設業界用語 7 ネットワーク工程表/その作成方法 その2(復路計算)

復路計算でネットワーク工程表を完成させよう

前回の往路計算で、そのプロジェクトの総所用日数とクリティカルパスを算出することができました。

今回は、往路計算のやり方をマスターして、F(フロート:余裕時間)を算出してネットワーク工程表を完成させます。

往路計算の結果を下図に示します。

前回の続き

復路計算でLFとLSを計算する

復路計算では往路の逆方向にネットワーク図の右から左へ計算を進めます。

では、終了作業Gからはじめます。

最終作業Gでは、LF(最遅完了)にはその作業のEF(最早完了)を入れます。

そして、LS(最遅完了)=LFーTを入れます。

続いて、左側の作業(前作業)を計算をします。

LFには、右作業(後作業)のLS(複数ある場合は一番小さい数字)。

LSは、LS(最遅完了)=LFーTを入れます。この繰り返しで完了です。

注意するのは、右作業が複数あるケースです。今回は、作業Bと作業Aになります。

では、やってみましょう。

往路計算

最終作業GのLFには、EFの16が入ります。

そして、前作業へ移り、LFとLSをそれぞれ計算します。

後作業が複数ある作業Bは、CのLS8と作業FのLS 11なので、LFは小さい方の8を採用します。

同様に作業Aは、作業Bの3と作業Dの8なので、LFは小さい方の3を採用します。

これで、全ての作業のLFとLSが入りました。

フロートの計算

まず、各作業の余裕時間(フロート:F)を計算します。

余裕時間Fは、最遅完了LFー最早完了EFを計算します。

ゼロとなる作業を通る経路がクリティカルパスです。

フロートの計算

そして、自由余裕時間FFも計算します。

フロートのある作業が連続する場合、ここでは作業Dと作業Fのケース。

それぞれ余裕時間が5日と3日ありますが、前作業Dの5日を当該作業で全部使うと、後作業Fの余裕時間を使っている可能性があります。

当該作業で純粋に使っても、後作業に影響しない余裕時間を、自由余裕時間FFと呼びます。

FF=当該作業のEFー直後作業のESとして計算します。

計算してみましょう。

自由余裕時間の計算

作業Dの余裕時間は、その作業で使っても良い自由余裕時間(FF)と使ってはいけない余裕時間(デペンデットフロート:DF)の合計と言えます。

F=FF+DFの関係になります。

これで、ネットワーク工程表の完成です。

クリティカルパスをもっと簡単に探す方法

ネットワーク工程表から、このプロジェクトは3つのルートがあることがわかります。

ルート1:A→B→C→G

ルート2:A→B→F→G

ルート3:A→D→F→G

それぞれのルートの所要日数を合計します。

ルート1=3+5+5+3=16 

ルート2=3+5+2+3=13

ルート3=3+3+2+3=11

最も長いルート1が、クリティカルパスになります。

その所要日数合計が、このプロジェクトの総所要日数となります

では、それぞれのトータルフロート(全余裕:TF)を計算してみましょう。

TF=そのルートの所要日数合計ープロジェクトの総所要日数 なので、

ルート1は0日、ルート2は3日、ルート3は5日

ルート3>ルート2>ルート1の順に余裕があることがわかります。

試験において、クリティカルパスと総所要日数を求められるだけであれば、往路計算も復路計算も必要ありません。

ネットワーク図から、いくつルートがあるか探して、それぞれのTの合計を計算するだけで、答えを求めることができます。

ここまで理解できれば、ネットワーク工程表について、どんな試験問題が出てきても心配ありません。

せっかく習得した知識です。実際の現場で使ってもらえると幸いです。

最後の仕上げ ネットワーク工程表からバーチャート工程表を作る

ネットワーク工程表作成の最終目的は、現場で実際に使うバーチャート工程表を起こすことです。

ネットワーク工程表によって、どの作業に、どのくらい余裕があり、総所要日数が何日かわかったところで、

まずは、横軸に時間軸をとったバーチャートを作ります。

バーチャート工程表

どこかで見た図です。そう、前々回のフロートの説明で作った図になります。

あとは、実際のカレンダーに合わせて、休日やら、天候の予報を加味しながら、実行工程表を作っていきます。

ネットワーク工程表の解説は、これまででした。

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