現場で使える建設業界用語5 ネットワーク工程表/フロート

なぜ、ネットワーク工程表が役に立つか?

作業は、大雑把に分けると「余裕のある作業」と「余裕のない作業」の二つに分けられます。

ちなみに、ネットワーク工程表では、作業のことをアクティビティと呼びます。

余裕のない工程を重点的に管理すれば、他の作業は放っておいても、全体工程をスムーズに管理できます。

ネットワーク工程表とは、どの作業にどのくらい余裕があるかを、明確にするための道具なのです。

作業を時間で定義する

前後の作業工程の関係から、作業は、

①いつから始めることができるか?→最早開始時間(ES:アーリースタート)

②いつまでに終わらせならければならないか?→最遅終了時間(L F:ラストフィニッシュ)

③作業完了まで何日かかる?→所要時間(T)

この3つの要素で表すことができます。

作業の定義

では、その作業に余裕があるかどうかを、どうやって見分けるのか?

余裕のない作業

余裕のない作業は、ESからLFまで全ての時間をT(所要時間)として使う作業のことです。

余裕のない作業

余裕時間(F)のない、遊んではいけない作業になります。

その作業は、遅れると全体工程に影響する、クリティカルな作業になります。

クリティカルな作業の連続経路が、クリティカルパスになります。

余裕のある作業の定義

一方、余裕のある作業は、始める時間に自由度があり、LFまでに間に合えば、いつ作業を始めてもいい作業のことです。

できるだけ早く始めて、早く終わろうとした時の終わる時間を、「最早終了時間(EF):アーリーフィニッシュ」と呼びます。

後回しにして出来きるだけ遅く終わらせようとする時の始める時間を、「最遅開始日(LS):ラストスタート」と呼びます。

作業は、以上6つの時間(ES、EF、T、F、LS、LF)で定義できます。

似た言葉で混乱しないように、図で覚えるようにしましょう。

余裕の種類

前後の余裕日数の合計をトータルフロート(TF)と呼びます。単にフロート(F)とも呼びます。

実例で考えてみましょう。

下図は、バーチャート工程表に余裕を表現した図です。

水色のバーが所要日数(T)です。矢印だけがの部分が余裕日数(フロート)です。

開始から終わりまでのルート(経路)は3つあります。

ルート1は、A→B→C→G。

ルート2は、A→B→F→G。

ルート3は、A→D→F→G。

余裕のない作業の連続するルート1がクリティカルパスです。

作業Dと作業Fには、余裕があります。

作業Dは5日、作業Fは3日の余裕(フロート)があります。

作業Dは後作業の最早開始日までに作業を終わらせると、後作業Fの余裕を食い潰さないことになります。

しかし、作業 Dのスタートを遅らせると、後作業Fの余裕を食っちゃうことになります。後作業に影響する作業Dの後半の余裕は、デペンデントフロート(DF)と呼びます。

一方、作業Dの前半の余裕は、後作業のことを気にせず、フリーで使うことのできる余裕(自由余裕)です。これをフリーフロート(FF)と呼びます。

トータルフロート(TF)=フリーフロート(FF)+デペンデントフロート(DF)の関係になります。

次回は?

用語の説明はここまで、

次回は、それぞれの数値の算出方法を解説します。

もう少しです。ここを確実に抑えることが、試験合格への早道です。

図を頭に描いて、各数値の意味を理解して、

あとは、足し算・引き算で、小学生でも正解を得ることができます。

単純計算なので、実務ではコンピューターが瞬時に答えを出してくれます。

その答えをどう使うが、管理者の腕の見せどころになります。

数値の意味を理解してこそ、工程管理の強力な武器になります。

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