現場で使える建設業界用語4 ネットワーク工程表/クリティカルパス
ネットワーク工程表とは?
1級建築管理技術士試験における、午後の試験問題「工程管理」では、ほぼ毎年ネットワーク工程表の問題が出題されます。
建設工事で工程表というと、バーチャート 工程表が一般的です。
横軸に日付を、縦に各種工程を書き込み、棒グラフで工程の始まりと終わりを示す形式の工程表です。
一方、試験で問われるネットワーク工程表は、日付を気にしません。「いつ」の概念はないのです。
関連性を持つ工程(タスク)の繋がりを図にした工程表です。
各工程は、「前工程」と「後工程」が何で、この工程に「必要日数」、のも3つだけの情報で構成されます。
ネットワーク工程表はなんのために必要か?
①複雑に工程が絡み合うプロジェクトの最短工期が何日か?が分かります。
②プロジェクトの「ボトルネック」がどこか判明します。(ボトルネックとはプロジェクトを遂行する上で障害や問題となる工程)
③ボトルネックとなっている工程を中心に、工程ごとの関連性を見直すことや、必要日数を見直すことで、工期短縮の検討ができます。
④この結果をもとに、実際の日付に割り振っていった工程表が、バーチャート 工程表になります。
プロジェクトが単純な場合は、省略することもありますが、
1級建築管理技士として理解しておかなければならない技能です。
今回から3回に分けて、ネットワーク工程表の解説をしていきたいと思います。
今回はクリティカルパスについてです。
クリティカルパスとは?
クリティカルパスとは?「クリティカル(危機的な)」+「パス(経路)」を意味する言葉です。
クリティカルという言葉は、「死守しなければならない」とか「最後の一線」というイメージでとらえます。
ボトルネックを経由する経路になります。
クリティカルパスの示す工事日数が、工事完了までの最短日数(理想工程)を表します。
したがって、クリティカルパスに遅延が生ずると、全体工期は理想工程から遅延していきます。
建築工事のように、複数の作業が関連しあって工事が進む場合、このクリティカルパスを把握することが、工事の成否を決めると言われます。
クリティカルパスの把握が工事の成否を決める
一般的に身近なバーチャート工程表では、どの作業経路がクリティカルパスになるかわかりません。
通常は、先にネットワーク工程表を作って、日程的に余裕のある作業と、余裕にない作業を把握してから、バーチャート工程表を作成します。
そして、工事が進んでいくと、天候や材料調達先の事情などから、工程の見直しを迫られることがあります。
その時、遅れても挽回できる作業なのか?全体工程を左右するクリティカルパス上の作業なのか?によって、
次にどの手を打つかが変わってきます。
このように、クリティカルパスを重点的に管理することが工程管理の要になります。
今回はここまでです。
次回は、クリティカルパスを算定するため理解しておかなければならない
重要な概念である「余裕(フロー)」について解説していきます。