IoTの潮流に乗り遅れるな                     〜コロナ禍の中小企業経営者がやるべきこと〜

事業再構築補助金を知っていますか?

今年度の中小企業庁の補助金予算が大変なことになっています。

例年は「持続化補助金」「ものづくり補助金」などで年間1,000億円程度が執行されていましたが、今年は従来の10倍以上1兆円を超える巨大予算が計上されています。

政府は本気です。昨年からのコロナ禍の影響で中小企業者が大きなダメージを受け、大半の事業者が瀕死の状態にあると分析しています。

そんな中小企業経営者が現状の経営を続けていたのでは、ポストコロナ時代を生き残れない。

そんな環境下、リスクを背負ってでも、思い切った事業再構築する中小企業者の挑戦を支援して、日本経済の構造転換を促することを目的とした補助金です。

具体的には、補助額8,000万円まで(補助率2/3)、応募は今年3月から始まっており、年間5回の募集が予定されています。

事業意欲旺盛な経営者にとっては願ってもない制度になっています。

興味のある方は、経産省のwebサイト(事業再構築補助金 (METI/経済産業省)を見て検討してください。

「現状維持」は「現状を維持できない」を理解する

世の中の変化スピードは凄まじく、中小企業同志が同じ土俵で戦うためには、変化についていけない企業は市場から退場せざるを得ません。コロナ禍の影響でその動きも一気に加速した感があります。

縦軸に「提供できる価値」横軸に「時間」のグラフを書くとよく理解できます。

中小企業の「現状維持」とは「同じ価値」を作り続けること。

一方、お客様の期待する価値は時間と共に「高く」なります。時間経過とともに「お客様の期待する価値」>「提供できる価値」となった段階で、その商品なりサービスは陳腐化して売れなくなる。

つまり、中小企業の「現状維持」は「現状を維持できない」を意味します。

コロナ禍で市場から退場する企業の経営体質

コロナ禍のような不況環境下で経営不振を続ける中小企業の経営体質は、損益分岐点分析を行うと一定の傾向があることがわかります。

損益分岐点分析とは、売上を費用(固定費+変動費)と損益に区分して、どのような費用配分で利益を出しているかを図で理解する分析です。

ちなみに、費用はその性質から、売上に比例する費用を変動費(主に原価)と、売上に比例しない費用、売れても売れなくても固定的にかかる費用(主に設備費と人件費)に分けます。

これらの費用構成がどうなっているかを分析すると、必達売上である損益分岐点売上が算出できます。

損益分岐点売上はそれ以上なら黒字、それ以下なら赤字の境界点です。

その分岐点が高いか低いは不況抵抗力(不況ショックにどれだけ耐えられるか)を判定する指標になります。

「高固定費・高分岐点」企業は不況に弱い「危険型企業」と言えます。

一般的には運送業と飲食・宿泊業がこのグループになります。

まさにコロナ禍で大きい影響を受けている業態です。

固定費(設備費と人件費)比率が高く、売上は分岐点到達が精一杯の企業です。

このタイプの改善ポイントは「固定費管理」につきます。

まず、設備効率を上げて売上に繋ぐ、例えば、「夜間営業だけから昼夜営業に切り替える」などが解決策となります。

次に、人件費の効率化、「同じ人員で生産効率を上げ売上増を狙う」などです。

政府補助金の狙いも人件費の効率化にあります。

雇用を維持しながら生産性を上げて利潤を出す。さらに、そのためにデジタル化を使う。

「雇用維持」と「デジタル化」この2つのポイントが補助金獲得のための肝になります。

そこで登場するのが本題の「IoT」です。

D XとIoT 、なぜ今 IoTなのか?

今流行りの言葉にD X(デジタルトランスフォーメーション、Dはデジタル、Xは転換)があります。

その意味をおさらいしておきましょう。

D Xとは、「I T技術の浸透は人々の生活をあらゆる面で良い方向へ変化させる」という概念のこと。

最近の例で言えば、「スマホでワクチン接種予約」や「スマホで確定申告」など身近な例が出現しています。

一方、IoTは? 今言葉も、おさらいしましょう。

一言で言うと「全ての物がインターネットでつながる社会」のこと。

言い換えれば、人を含む全ての物にセンサーが付けられ、あらゆる現象がデジタルデーターとして集められる社会のことです。

身近な例で言えば、ほとんどの人がスマホを持っている社会です。

スマホは人と一緒に移動します。そして、GPSをはじめ様々なセンサーを備えて、インターネットにつながっています。

知らぬうちに各種データーを集められて、使われています。

「コロナ禍における〇〇駅の人の流れデータ」など、身近な例で利用されています。

知らぬうちにIoT化はどんどん進んでいます。

否応なしに、色々なものや人から様々なデータがクラウド上に蓄積され始めています。

「カンピューター経営」から「データドリブン経営へ」

経営現場においても、簡単に安くデーターを集めることができるようになりました。

これを経営に生かさぬ手はありません。

昔はデータがないので個人の「経験」と「カン」で経営がされていましたが、

これからは、実態を示す「データ」に基づき「経営判断」できる時代がすぐそこに来ています。

この流れに乗り遅れた経営者は市場から締め出されます。

どこから手をつけたらいいか?

まずは「ラズベリーパイ」と「電流センサー」と「カメラモジュール」から始めましょう。

1セット2万円程度で揃えることができます。

ラズベリーパイとは超小型P Cのこと(下写真)。

これ一つでデータの取り込み・加工・WiFi接続が可能になります。

これらを現場に設置してデータ収集から始めて、そのデータはどう使えるか、この試行錯誤が経営脳を鍛えます。

できる経営者は「IoTの潮流に乗り遅れるな!」。

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