事業再構築補助金の公募要領を読む (3)

10.事業計画作成における注意事項(29ページ) ここが最も重要

10章は具体的な事業計画作成における注意点が書かれており、公募要領の最重要ポイントになります。

今回はここだけに絞って細かく解説します。

事業計画に何を表現するか?審査ではどこをみるか?どうしたら加点をもらえるか?

この章に全て書かれています。

まず、事業計画書の分量は、A4サイズ15ページ以内です。

分量で判断はしないとありますが、資格試験と一緒です、

決められた分量を有効に使って審査員に精一杯アピールしてください。

事業計画書は大きく4つのブロックで構成されます。

1 補助事業の具体的取組内容

2 将来展望

3 本事業で取得する主な資産

4 収益計画

それぞれ、そのブロックに必要項目をキーワードの羅列で表示せいていますが、

それぞれのキーワードは審査における「評価項目」になっています。

キーワードごとに目立つ表記でタイトル付けして

全てに自己アピールすることが必要です。

審査員は採点表に書かれているキーワードに沿って審査します。

申請書にそのキーワードが項目で見つかれば、項目が記載されているかどうか

その内容が評価に値するかどうか、とても採点しやすくなります。

つまり、高得点を得やすいスタイルになるということです。

表1:添付書類(31ページ)

添付書類の一覧表が記載されています。

ご自身の提出する枠に必要とされる書類を準備します。

通常枠の場合、

①事業計画書 最大15ページでまとめます。あとで説明する審査項目のキーワードに答えていく形でまとめます。

出来るだけ、図、写真、イラストを多用して、審査員に資格で理解してもらえるよう努力します。

②認定経営革新等支援機関・金融機関による確認書

関与してもらった機関から確認書をもらってください。

③コロナ以前に比べて売上高が減少したことを示す書類

コロナ前、コロナ後とコロナ後の確定申告書別表一と法人事概況説明書の控えに当たります。

確定申告前の売上はそれに代わる売り上げ台帳等で代替します。

⑤決算書(直近2年分)

⑥ミラサポplusの「電信製サポート」の事業財務情報

13 審査における加点を希望する場合に必要な追加書類

条件に合うのであれば、出来るだけ準備して加点をもらいましょう。

表2:審査項目(34ページ)

この表の審査項目も重要です。

「事業計画作成における注意点」と同様にキーサードに分解して、

事業計画の中で、一つづつ回答して行ってください。

この表を元に、審査員には採点表が提示されて、非常に良い、良い、普通、悪い、非常に悪いといった5段階評価(4、3、2、1、0点)になります。

それでは、事業計画書の作成に進みます。

申請フォーマットは中小企業庁の下記 URLからダウンロードして準備してください。

事業再構築補助金 (jigyou-saikouchiku.jp)

具体的に、申請フォーマットの事業計画書に沿って章立てしていきます。

(1)事業再構築要件について

Ⅰ 「〇〇商店」の概要

フォーマットでは、最初に「(1)事業再構築要件について」とありますが、まず、前置きとして自己紹介を入れると審査員は読みやすくなります。

最初に前置きとして、自分はどういう者であると自己紹介します。写真や表を使ってビジュアルに表現します。分量は1/3ページほど。

Ⅱ 事業再構築の概要・・・〇〇から△△への転換

事業のビフォー・アフターをビジネスモデル図や写真を使って表現します。 

サマリーなので、全体を書いてからそれをポイントを絞ってまとめましょう。分量は2/3ページほど。

そして、理想像を先に示しておきます。「将来はこうなります」と最初に宣言しておきます。

これをやることによって、審査員を方向付けます。

Ⅲ  「事業再構築指針」の該当要件を満たすポイント 類型:〇〇

類型を定義して具体的に何から何への転換か示します。例えば、日本産業分類の「何番」から「何番」へ転換します。

例えば、「事業再構築類型:事業転換、(日本作業分類細分類 7126日本料理店→7625焼肉店)」といった具合です。

そして、その類型に求められる「要件」と「要件を満たす考え方」を表にまとめます。分量は1/3ページほど。

要件要件を満たす考え方
商品の新規性要件
市場の新規性要件
売上高構成比要件

ここで、審査項目(34ページ)の(1)補助対象事業としての的確性と(3)再構築点「リスクの高い思い切った大胆な事業の再構築であること」の得点を取ります。

Ⅳ 競争力強化を実現する方策

現状を分析して、問題点を示し、課題を設定して、解決策を提案する。

<既存事業と差別化する方法や仕組み>

もちろんイラストや写真があって、イメージしやすいようにしましょう。

<他社と差別化する方法や仕組み、本事業の価格的・性能的な優位性>

ここでは、競合店を市場調査して一覧表で新事業の優位性をアピールします。

<当社が行う競争力強化実現のポイント>

ここの分量は1.5ページ。

Ⅴ  政策面の特記事項

審査項目の(4)政策点のどれをアピールするかを決めて、ここに記載します。

例えば、「先端的なデジタル技術の活用」として当社の取り組みを具体的に記載する。写真やイラストを使うと尚いい。

(2)具体的な取組の内容

Ⅰ 現在の自社(店舗)の事業

冒頭の自己紹介とダブりますが、より詳細に紹介します。

提供する商品・サービスの内容や売り上げの割合、人気商品とお客様の声などを具体的に記載します。

分量は写真込みで1/3ページ程度。

Ⅱ 強み・弱み(内部環境)、Ⅲ 機会・脅威(外部環境)

コンパクトにまとめます。表にすると良いでしょう。たくさん拾えば良いというものではありません。事業再構築につながるものから優先的に2項目ほど写真つきの表でコンパクトにまとめます。

「強みを活かして機会を捉える」から将来のあるべき姿を想像する流れになります。 

ここでは、審査項目の(3)再構築点③市場ニーズや自社の強みを踏まえ「選択と集中」を戦略的に組み合わせ、リソース(経営資源)の最適化を図る取り組みであることをアピールして得点を稼ぎます。

ここの分量は1ページ程度使います。

Ⅳ 事業環境と今後の戦略

まず、内部環境・外部環境の分析を踏まえ、現在の事業環境(=コロナ禍の厳しい事業環境)を記載する。

そこで、問題点が明らかになり、課題を設定してその解決策が戦略になります。

まとめは、当社が進むべき今後の戦略をキーワードと内容説明でコンパクトにまとめます。

課題と戦略とは、まず、現状とあるべき姿の間にあるギャップを埋めるため、

どこに向かい(戦略)どんなテーマ(課題)に取り組むかを記載します。

分量は1/2ページ程度。

Ⅴ 事業再構築の必要性

まず、コロナ禍以降の業績を表やグラフで示し、業績が著しく落ち込んだことを数値で示します。

例えば、コロナ禍以前(202104以前)と以後同月売上比がマイナス〇〇%になった。

このままでは、ジリ貧が続き将来を見据えることができない。事業再構築を行うことで現状を打破する起爆剤にしたい旨を

具体例を示しながらアピールします。

そして、最近(コロナ禍における)の財務状況を、経産省の「ローカルベンチマーク」の財務分析結果で示します。

解説を入れて、「売上は落ち込んだが、まだ事業再構築に挑戦できる余力を当社は備えている。」とまとめます。

分量は1ページ程度。

ここでは、採点項目の(3)再構築点の②新型コロナウイルスの影響で深刻な被害が生じており、事業再構築を行う必要性や緊急性が高いこと

にアピールして得点を稼ぎます。

Ⅵ 補助事業の課題と解決策

3つくらい課題を取り上げ、その背景と解決方法をまとめます。

1課題ごとに表(マトリックス)にまとめると見やすくなります。

分量は1/2ページ程度。

ここでは採点項目の(2)事業化点③補助事業の課題が明確になっており、その課題の解決方法が明確かつ妥当か、にアピールして得点んを稼ぎます。

Ⅶ 事業再構築の具体的内容

具体的内容をここで示します。

<ターゲットとする客層と提供するサービス>

<補助事業で導入する設備や工事の内容>

ここでは出来るだけ具体的に、パンフの写真や図面をふんだんに入れて視覚に訴えます。

Ⅷ 既存事業や他社との差別化・競争力強化について

前のページで説明していると断りを入れる。

Ⅸ 事業を担う人員体制(補助事業と事業化後)

自社か協力者かの区分、役職、氏名、役割、実績経験を一覧表にまとめる。

出来るだけ具体的にまとめる。

ここでは事業遂行能力があることをアピールする。

Ⅹ 補助事業の実施工程とスケジュール

横軸を時間、縦軸を項目にしたガントチャートで表現する。

ここでも事業遂行能力があることをアピールする。

Ⅺ 財務状況

ここは、債務超過など財務状況が悪い場合、経緯や今後の対応を記載します。

なければなくて構いません。

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