中小企業経営者が知っておきたい「IoT」の世界 2 〜IoT社会はすぐそこに〜

IoTの世界

IoT社会はすぐそこに

前回の記事で、IoTとは何?、IoTの現状について解説しました。

そして、中小企業経営者はIoT社会を前提とした経営を考えないと、現状維持さえできないことを説明いたしました。

今回は、「まだまだ」と思っている経営者に、IoT社会が目の前に来ていることを実感してもらいます。

IoT社会が実現するための技術的必然性

IoT社会が実現するためには3つの技術要素が必要でした。

技術は存在するだけだなく、多くの人がストレスなく使える価格・性能が備わらなければ広く普及しません。

3つの技術とは、「スマホ」、「クラウド」、「SNS」です。

3つの技術とも2006年から2007年にかけて世の中に出現しました。

それから14年が経過し、2020年いはいよいよ「5G』(モバイル通信方式の第5世代)が解禁になりました。

3つの技術は相当にストレスなく使える状況になってきています。IoT社会の到来は目の前です。

それぞれの技術の進化してきた背景を次で解説します。

スマホ (移動電話から小型モバイルPCへの進化)

スマホといえばアップのiPhoneがさきがけです。

誕生は2007年、その前身はデジタル音楽プレイヤーのiPod(2001年発売)です。

iPhoneのコンセプトは「音楽も楽しめて電話にもなるモバイルPC(パーソナルコンピューター)」といったところでした。

その1年後、Androidスマホも後を追います。現在ではスマホを一人一台以上持つ時代になりました。

そして、昨今の若者はPCを持たなくても、スマホは必須といいます、まさにスマホは子供からお年寄りまで、なくてはならない社会インフラの一つになっています。

スマホとPCの違いは、スマホは屋外で通信もでき、多くのセンサーを持つところが決定的に違います。

特にセンサーは、みなさんがよく知っているところで、GPS(位置情報)、ジャイロスコープ、加速度、磁気、環境光、近接、指紋センサーなどがスマホに搭載されています。

もちろん、情報収集のために目となり耳となるマイク、カメラも備わっています。

このことにより、スマホも持っている人はいろいろな情報を常に収集して、どこからでも収集したデーターを発信できる状況になったのです。

そして、スマホの普及に伴って、各種センサーやカメラが劇的に安価に手に入るようになりました。

この二つの現実は、IoT社会実現のために大きな役割を果たしています。

クラウドコンピューティング (巨大な仮想サーバー)

続いてスマホで収集したデーターを蓄えるサーバーの進化についてです。

クラウドコンピューティング(クラウド)の誕生(2006年)データーを記憶する方法を変えました。

これによりデーターを記録して貯めるためのサーバーは、個人で所有する時代から仮想巨大サーバーを共有(シェア)して使う時代になりました。

今流行のサブスクリプション(月額課金)と言われるビジネスモデルです。

もちろん、無線通信技術の進化があってどこからでも仮想巨大サーバーにつながることが前提です。

だから、スマホやPCで収集したデーターはどんどん大量になるが、いくらでも記録しておける時代になっていきました。

SNS (スマホとクラウドをつなぐソフト)

データーは収集するだけで貯めなければ使うことができません。

収集したデーターをクラウドに貯める役割を担うソフト機能として、SNSは存在します。

スマホで集められた膨大なデーターはクラウドに集められ流ことで、いろんな形に加工されて利用されています。

FacebookやTwitterなど、ただのコミュニケーションツールと思っていたら大間違いです。

SNSによって集められたデーターはマーケティングなどいろいろな目的で使うことができます。

ネットでお買い物をしていると、「あなたにぴったりな商品はこれです」と言ったアナウンスがそれです。知らず知らずにあなたの嗜好が分析されているのです。

実際にスマホを持っていればどこで誰がいつ何をしていたかわかる時代になってきました。

4Gでは満足できない

スマホ、クラウド、SNSの3つの技術によって、人とPCはインターネットによってクラウドにつながる世界が実現していることは理解できたでしょうか。

これからは、スマホ・家のPCだけでなく、データー収集の頭脳であるPCがどんどん小さくなってきます。

数十グラムのPCがいろいろな「モノ」に接続されて、人が持つスマホのように「モノ」と小型PCのペアが世の中にどんどん増殖していくでしょう。

いろいろなところで収集されるデーターは使い道がはっきりしなくてもどんどんクラウド上に貯められていきます。

センサーで得られたデーターやテキストデーターや写真データーは今の通信技術(4G)でストレスなく収集できますが、動画データーは圧倒的に容量が大きく現在の課題になっています。

通信技術の進歩 5Gで出来ること?

そこで登場したのが5Gです。

5Gとは4Gに続く次世代(第5世代)モバイル通信方式のことです。

5GとWiFi6

第2世代は音声中心、第3世代でデータ通信が普及し、第4世代はスマホの世代と言われています。

5Gは現在主流の4Gに比べ「高速大容量」、「低遅延」、「基地局多ポイント同時接続」が大きな特徴です。

これにより動画の扱いがスムーズになります。現状では音声データーのradikoでさえ数分の遅延が生じて、時報は信用しないでください、となっています。

動画がスムーズに受送信できて遅延が最小限位抑えられると、いろんな使い方ができるようになります。

例えば車の自動運転です。無人運転をすると考えてください。

人の目にあたるカメラで見ている前方の映像情報を元にPCが指令を出してハンドルブレーキ・アクセルを操作します。

もし100kmで走る車で指令系統に遅延があれば、自動運転は不可能です。

5Gの実用化で自動運転が可能な社会が実現しそうです。

現在は、まだ通信インフラの整備が進展していないため利用できる地域は限られているようでして、本格的な普及は2023年以降とも言われています。

でも、その頃には確実にIoT社会が実現するともいえます。

室内の通信方式 WiFiはなくなるか?

5Gがそんなに優れているなら、現在室内で使われている通信手段のWiFiは5Gに駆逐されるのか?

そんなことはありません。それぞれの通信方法には特色と役割があり、適材適所で使われるようになります。

室内で使われるWiFiも進化を続けており、WiFiの次世代はWiFi6になります。5Gと同等以上の性能が期待されています。

次回は?

中小企業経営者の皆様、怖がらずに早くIoTの世界に馴染んでいきましょう。

今回はここまでです。

次回は、クラウドに集められたビッグデーターはどう使われるようになるか?解説していきます。

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