中小企業経営者が知っておきたい「IoT」の世界 1 〜IoTなんて怖くない〜
『IoT』とは?
「IoT」とは?、英語では「 Internet of Things」、日本語直訳では「モノのインターネット」。真ん中の「o」は「of」だから小文字で表記します。
私は、モノだけではなく人を含む全てがインターネットを介してつながる事を「IoT」と理解しています。
今から20年前にアメリカで生まれた言葉(概念)です。
時代背景を思い出してみます。
今から30年前の1990年代にIBMや日立の「大型コンピューター」の時代から、
1995年「PC(パーソナルコンピューター)がインターネットを介して繋がる時代に変化していきます。
ここからが、IT(情報技術)時代の始まりです。
そして、机の上に固定されていたデスクトップPCから、移動できるノートPCへ、
そして通信・PC・センサーが一体になったスマートフォンへ進化していきます。
今から13年前、初代iPhoneが登場した2007年の事でした。
これによって、スマホ一人1台の時代が到来して、人と人がインターネットによって繋がるようになりました。
IT(情報通信技術)化は進み、通信インフラはG3からG4へ、そしてG5へとデータ通信が「量」と「速度」を増していく中、
インターネットに繋がるのは「人」だけでなく機器「モノ」も加速度的に増え続け、繋がり続けることになります。
これがIoTの未来です。
「IoT」の現状
あらゆる「モノ」にPCとセンサーと通信が備わるようになり、
そしてセンサーで取得したデジタルデーターが「クラウド」上にどんどん貯まる世界になっていきます。
モノから収集されるデジタルデータは加速度的に増え続け、それが価値を産むようになります。
データは自社だけではなく他社からも政府機関からも消費者の車や家電からどんどん集まってきます。
量だけではなく、データ形式や種類はも多様になり、とにかく集まります。これが「ビッグデータ」です。
これらデジタルデーターは、何か目的があってためるのではなく、取得できて貯めれる環境があるから、とにかく貯めている現状です。
使い道は後で考えます。この混沌としたデーターの集合から新しい価値が生まれてくるのです。
その世界はすでに現実化しており、その代表例はアップル、アマゾンと言った、ITプラットフォーマー(GAFA:ガーファ)です。
プラットフォームとは共通基盤(インフラ)のことで、この共通基盤を使った情報サービスを提供する企業をITプラットフォーマーと呼びます。
我々は彼らのサービスを使って、スマフォ経由でSNSや地図検索・お買い物など、便利で新しい価値を享受しています。
いろいろなデータがそこで取得されて、分析されてマーケティング等に使われています。
ネットでお買い物すると、「あなたへのおすすめはこれです」と言ったお節介な表示、どこか覗かれている不気味さを感じます。
そして、街中には監視カメラが設置され、これも多分にデジタルデーターとしてクラウド上に集積されているんでしょう。
こうなってくると「お天道様が見ている」と思って、「清く正しく」生活するしかなくなります。
つくづく、「集める側」の倫理観や利用ルール・セキュリティーが大切になってくる時代です。
「現状維持」は「現状を維持できない」
世の中の変化スピードは凄まじく、中小企業も同じ土俵で戦うためには、変化についていけない企業は市場から退場せざるを得ません。
中小企業の「現状維持」は「同じ価値」を作り続けること。一方、お客様の期待する価値は時間と共に「高く」なります。
「期待される価値」<「提供できる価値」となった段階で、その商品なりサービスは陳腐化して売れなくなります。
つまり、中小企業の「現状維持」は「現状を維持できない」を意味します。
世の中は凄まじい勢いで「IoT」化に進んでいきます。
一方で必要となるセンサーやPC装置や通信と言った装備の価格はどんどん下がっています。
中小企業者にとっても、導入できる価格帯のものが登場し始めました。
ラズベリーパイ(「IoT」のための超小型コンピューター)です。
電子工作の感じで、センサーやサーバーやクラウドに繋いで「モノ」からデジタルデーターを取得・分析できる環境が数万円程度で手に入る時代になりました。
これからの中小企業経営者は自分への投資と思って、お小遣いからでもこれらを購入して「IoT」で「遊ぶこと」をおすすめします。
まず手にとって、その環境に馴染んで、デジタルデーターは何に使えるのか?世界中で貯めた無限のデータ(ビッグデータ)は何の役に立つのか?遊びながら感ずることが大切です。
ITベンダー(業者)に丸投げではなく、現場をよく知っている経営者こそ、現場を改革する道具としてIoTをどう使うか、現場をどう変えるか自分で考える。
そこがわかれば、情報技術の専門的なところは彼らに任せて、現場にマッチした効率的な設備投資が可能になります。
「自分で使って遊んでみる」。これが「IoT」化へ対応できる経営者への近道と考えます。