令和2年度 ものづくり補助金公募開始

ものづくり補助金の公募が始まりました(令和元年度補正)。

公募要領(一般型)を入手したので読み解きます。

補助上限1000万円、補助率2/3は変わりません。

昨年から大きく変わった点

  • 募集が単発ではなく、通年方式へ。年間で5回(3月、5月、8月、11月、2月)、じっくり計画を固めて最適なタイミングで申請が可能となりました。
  • ポータルサイトで管理する方式へ。電子申請へ移行します。紙からデータへ。
  • 他の補助金(持続化、IT導入)も同サイトで一元管理。
  • 多彩な事業類型メニューを用意。「一般型」、「グローバル展開型(新)」、「ビジネスモデル型(新)」、「企業連携型」、「サプライチェーン効率型(新)」。今回は従来からある「一般型」です。

補助事業の概要を5W1Hで読み解く

ものづくり補助金の概要・目的を押さえるため、5W2Hにまとめました。申請書で必ず押さえなければならないポイントです。

  • Who 誰が:国が(中小企業庁の中小企業支援予算)
  • Why 何のため:中小企業が近年の制度変更に対応するため。(働き方改革、消費税のインボイス制度導入、被用者保険適用拡大など)
  • What 何を:中小企業が新規性のある事業に取組のために行う設備投資
  • When いつ:年間5回の申請スケジュールで、今回の申請期間は3月10日から3月31日まで。採決は4月末、そこから10ヶ月の期間で事業完了。
  • Where どこで:電子申請ポータルサイトで
  • How mach いくらで:補助上限1000万円、補助率2/3
  • How to management どのように:事業概要とその費用対効果を盛り込んだ事業計画書の審査において

ついでに、SDGsにおける意味合いは?

人類の将来ゴールSDGsにおける意味合いは?次の3ゴール。

  • ゴール8:働きがいも、経済成長も(各種制度変更への対応)
  • ゴール9:産業と技術革新の基盤をつくろう(新規性ある事業の発掘と地方活性化)
  • ゴール12:つくる責任、つかう責任(環境に配慮)

加点ポイントも明確になっている

今までの「経営革新計画」取得、小規模事業者優遇のほか、次のような加点ポイントが加わりました。

審査は平均点付近で多くの事業者が集まります。採択へたどり着く最後の一歩は加点ポイントが決め手になります。できるだけ加点できるように準備しましょう。

  • 災害加点:事業継続強化計画の取得。この制度は昨年度から、計画の目的は近年増えている自然災害への企業としての対処を事前計画にまとめること。
  • 政策加点:創業者優遇。企業の新陳代謝促進。
  • 災害加点:コロナ被害対応を優遇
  • 政策加点:ニッチ分野の事業。中小企業事業者が大企業に対抗するための近道。
  • 賃上げ加点:賃上げ計画を従業員に表明し、事業計画に盛り込む。
  • 賃上げ加点:自主的に被用者保険適用制度に取り組む

一方で、ものづくり補助金の常連さんは減点されます。採択されるには申請書段階でコツがあり、コツを掴んだ事業者は常連化しやすいようです。平等性に欠けるというか、浅く広く補助金を回す主旨でしょう。

その他の注意点

ものづくり補助金は2013年から7年も続いた歴史ある補助金制度です。即効性のある景気活性化政策として成果を上げています。歴史があるゆえ、いろいろな制度の欠点が目立つようになりました。

そのため、公募要領にはいろいろ細かい注意点が増え続けています。今回の公募要領で注目点を次に示します。

  • 申請は事業者が主体的に作成して、その内容に責任をもつ。推測するに、申請書作成専門の業者が支援した見栄えのいい申請書類が採択されるケースが多く、支援業者へ補助金流出を止めたいという意思のあらわれ。事業者主体の補助制度に戻したい。そのため、申請代行業者の排除などが盛り込まれている。
  • 事業者の自主性について疑義をもたれがちな費用項目について上限額を決めた。技術導入費:総額の1/3まで、専門家経費:総額の1/2まで、外注費:総額の1/2まで。理由は同上。
  • 申請書のボリュームに制限。A4版10枚まで。申請書の体裁よりは中身を重視。必要な説明を簡潔に。

中小企業の成長のために ものづくり補助金を

革新性ある事業者の育成を目的に、ものづくり補助金は長年にわたって継続してきた有効で即効性ある政策です。

中小企業者に取っては非常にありがたい、成長のきっかけとなりうる制度でしょう。例えば、利益率3%の事業者が補助金上限の1000万円の設備投資をするためには、その原資として3億円の売り上げが必要となります。売上からのキャッシュフローだけでカバーするには途方もない時間と努力が必要になってきます。

新規場業のアイディアを持っている事業者さんは是非とも活用してください。

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