現場で使える建設業界用語 8 建設業法
建設工事のルールブック
「建設業法」は建設業会のルールブック的存在です。
建設工事はこの法律に則って進めなければなりません。
現役の現場監督はもちろんのこと、現場監督を目指す若い建設技術者も
目を通しておく必要があります。
ここでは、建設業法の概念を知る目的で
制定された目的と概要を解説します。
建設業法とは?
建設業法を理解するには、
この法律が制定された背景と目的を知ることが、理解の早道になります。
建設業法の目的は3つあります。
①建設工事の適正な施工を確保する
②発注者を保護する
③建設業の健全な発達を促進させる
どうやってこの目的を達成させるか?
次の2つの手段が用いられています。
①建設業者の質の向上を図る
②請負契約書の適正化
この2つの手段を実行させるために
諸々の条文が用意されています。
建設業法制定の背景
建設業法が制定されたのは昭和24年
戦争が終わり、復興が急がれた時代です。
需要に供給が間に合わず、建設業者が急増していました。
これは、従来の建設業会の秩序を壊すことになりました。
そこには建設業会特有の問題が潜んでいます。
建設とは受注注文で、一品生産、その度に異なる現場で生産する
といった特殊な生産活動が行われています。
一つの建物を立てるには、いろいろな専門職が必要で
物によっては、何百といった業者が出入りする現場になります。
そこの生産組織は、重層下請け構造になっていきます。
放っておくと、弱肉強食の世界になり、次のような問題が生じてきました。
①現場内で責任の所在が不明
②組織の末端まで現場管理が行き届かない
③業者間のコミュニケーションの欠落
④品質・安全面に支障をもたらす
⑤弱い者(下請け)にしわ寄せが
これらの問題を解決するために建設業法が必要となりました。
建設業法の概要
背景が理解できたところで、
建設業法の概要を解説します。
この法律は5つの柱から構成されています。
1 建設を仕事にするには許可が必要
建設業を営むには許可が必要です。
建設業許可と呼ばれ、特定建設業と一般建設業の2つの許可があります。
建設業には様々な業種があり、
29業種についてそれぞれの許可が設けられています。
また、営業所の設置箇所によって、大臣許可と知事許可の2酒流があります。
一般的な企業の場合、企業の生き残りは市場競争や自然淘汰に任されています。
建設業は許可制度のある特殊な業界なのです。
放っておくと秩序が保てないという理由です。
しっかりと国や行政機関が管理しますという意思の現れです。
2 現場には技術者を確保しなさい
建設業者は、施工技術の確保に努めなければならないと規定されています。
技術のわかる専門家を配置して品質を確保しなさいということです。
そのために国家資格を作り、技術者の質についても国が関与する特殊なシステムになっています。
資格は、〇〇工事施工管理技士と言う名称で、〇〇には職種ごとに、
土木・建築・電気・管・造園の6種類が規定されています。
個人で言う車の免許や医者・弁護士といった専門職免許のイメージです。
現場にはこういった資格を持つ主任技術者や監理技術者をおかなければなりません。
3 請負契約は対等・公正であれ
重層下請け構造では、元請業者が力を持ちます。
発注者に対しては専門家としての強みを持ち、
下請業者に対しては発注者としての強みを持ちます。
その強者を牽制するために、
建設業法では発注者や下請けを保護する目的で
対等・公正な請負契約をするよう決めています。
具体的には
・一括下請け(丸投げ)禁止
・対等な立場で、公正に
・契約は必ず着工前に書面で
・契約前の見積もり依頼
・見積もり条件の明示
などが規定されている。