新京成電鉄の路線はなぜ曲がりくねっているか?
新京成電鉄車両基地の見学会
先日、ある技術系公益法人の企画した見学会で、新京成電鉄の車両基地を見学させていただきました。
新京成線は千葉県東葛地域の松戸駅と京成津田沼駅間を24駅で結ぶ鉄道路線です。
台地の分水嶺に沿ったカーブの多いルートを走るピンクの車両が特徴の鉄道です。
あのピンク色の車体と曲がりくねる軌道をイメージさせたコーポレートマークなど、イメージ戦略が成功して、新京成電鉄は明るい活気ある電鉄会社と認識されています。
あのビビッドなピンク色はただのピンクではなく、「ジェントルピンク」と言う色だそうです。華やかでお洒落な雰囲気を演出するいいコーポレートカラーです。
工場内で点検中の最新型80016車両を見学させていただきました。外観・内観ともジェントルピンクをふんだんに使い華やかな先進デザインに仕上がっています。
座席の背もたれが高くなっています。座席もお尻の形にくぼみで区切られ、すぽっと体が包まれる感じで、背もたれだけでこんなに座りごことが違うものかと感心しました。
なぜ路線が曲がりくねっているか?
新京成線の特徴は曲がりくねった路線にあります。
一説には、前身の鉄道連隊(戦前の陸軍部隊)を戦後に払い下げを受けて営業がはじまったから。
鉄道敷設の演習用の施設だったので、いろいろなバリエーションの軌道を敷設したのでは?
などいろいろな説があるようですが、
その理由は、ここの地形にあったようです。
ここは、西は江戸川、北は利根川水系(手賀沼や印旛沼)、南は東京湾に囲まれた形状です。
水系によって複雑に侵食された台地の尾根を縫って線路が敷設されたため、曲がりくねった現在のような路線になったそうです。
下の図のピンクラインが新京成路線、黄色斜線が台地の尾根です。水系を避けながら台地の尾根を通っていることがわかります。
講演者の解説では、ここは江戸時代に馬の飼育がされていた草原地で小金牧と呼ばれていましたとのこと。
明治以降、この草原は都市部の食料庫として農地開発が進んで行きました。
北総台地のある東葛地域には、二和・五香・豊四季・六実・十余二など数字のつく地名が多いなと思っていましたが、
その理由を教えてもらいました。
開拓した順番に地名にその数を残したとのこと。小金牧最初の開拓地は「初富」だそうです。
放牧場の境界は土塁が数百kmにわたって作られ、馬のが逃げ出さないような造りになっています。
今でもその遺構が残っており、住宅街のところところに「野馬よけ土手」と呼ばれる土塁が見受けられます。
トップの写真が住宅地に残された遺構です。
新京成線は地盤のいい台地に敷設されており、地震に強い路線と言われています。
この沿線が地盤が良くて水の災害も少ない安心して住める住宅地として発展した理由がわかりました。