和蔵酒造でお蔵見学 動画
2月の最終日、春らしいポカポカ陽気の日曜日、「和蔵酒造」さんの竹岡蔵へお邪魔しました。
和蔵酒造さんは明治期に創業した上総の酒蔵です。
この辺りは、昨年の台風被害がひどく、家屋損傷は未だに修復できていない。ブルーシートの応急処置が痛々しい状況です。
上総湊の「竹岡蔵」と君津に「貞本蔵」のふたつの蔵で日本酒を造っています。今回は元「池田酒造」ブランド名「聖泉」を造る竹岡蔵で蔵見学と新酒試飲会を楽しんできました。
最寄りの上総湊駅から徒歩20分、タクシーで5分の距離です。
竹岡蔵を見学
竹岡蔵は、最近では珍しく杜氏さんが仕切っています。蔵内の案内は池田社長様 自ら先導いただきました。
お蔵の中は、整理整頓と清掃が行き届き、さすがです。
創業当時からの建物を使っています。昨年秋の台風被害を受けて、煙突が倒れたり屋根を飛ばされたりと散々だったとのこと。
応急処理をして何とか冬を迎えて酒造りをスタート、酒造りは順調のようです。上の写真は応急処理の板張り屋根(一時しのぎだそうです)と蒸米工程のこしき(巨大せいろ:蒸し器)です。
こうじ室(むろ)は現在、大吟醸用のこうじを寝かせているとのことで、入室できません、室の前で説明を聞きます。
発酵室にも上げてもらいました。日本酒は丸いタンクの中で発酵させます。タンクは大きくて背が高いので作業は階段を上がった2階レベルで行います。並行複発酵の話や三段仕込みの話を丁寧に解説いただきました。発酵時の日本酒のとても芳しい香りに包まれた空間です。
2020年の新酒を楽しむ
お蔵見学の後は、待ちかねた試飲会。近所の公民館に会場を移して大宴会の始まり始まり。
試飲したお酒は写真の6本。左から、
- 聖泉 純米吟醸 無濾過生原酒
- 聖泉 純米生原酒 無濾過
- 聖泉 寒造り新酒 純米生原酒
- 竹岡 大吟醸 備前雄町
- 竹岡 一ツ火無濾過 特別純米
- 柚酒(日本酒ベースにゆず果汁を加えたリキュール)、日本酒と思わなければけっこういけます。
相変わらずの丁寧な造り、越後杜氏の仕込む淡麗ながら旨味を残した無濾過原酒、グイグイ進みます。
左から4番目の大吟醸だけは寝かせたお酒でまろやかさを味わいます。
富津「黄金アジのたたき」の仕出し弁当をつまみに、今年の新酒を堪能してきました。
海がすぐ近く
ここは海辺に位置するのお蔵です。裏庭の先がもう海です。
仕込み水はどこからと思うのですが、ここでは井戸水だそうです。
そうです、あの上総掘りで掘った井戸です。
上総掘りとは、掘削機械が生まれる前、明治期の上総地域で生まれた技術で、竹の弾力反発力を利用した掘削方法によって小さい口径で深く掘れる伝統技術です。いまだにアフリカなどで技術移転されて飲料水確保に貢献しているようです。
小さいお蔵で出荷量も少なく、なかなかお目にかかれないブランドですが、災害にも負けず頑張っています。君津・富津方面へ観光の際はお立ち寄りください。君津の「貞本蔵」は直売店も併設しており、買い求めにはこちらもどうぞ。