5Sの実践(1)生産性向上への5つの階段
実践プロセスの全容
今回からは新しいシリーズです。
前回までのシリーズで、5S活動の基礎を解説してきました。
今回からは、5S活動をどういう手順で実践して行ったら良いか、
その具体的プロセスについて説明します。
次の5つのプロセスがあります。
第1段回は基本方針の設定です。
5Sは何のためにやるか?活動の目的を明確化する作業を行います。
第2段回は基本教育です。
組織の全員が5S基本方針の意味を理解し、共通認識を持つために基本教育を行います。
第3段回は具体的活動を行います。
5Sの実戦となる具体的活動を実施する段階になります。
第4段回は評価活動を行います。
5S活動が定着して、確実に成果を上げているかどうかを評価し、
フィードバックする活動に入ります。
第5段回で改善活動に入ります。
いよいよ生産性向上への取り組みを図る段階になります。
それぞれの活動を時間軸で表すと、次の図になります。
では、それぞれの段階を具体的に解説していきます。
第1段階 基本方針設定
この段階では最初に、会社にとって5Sを行う目的や定義について明確にします。
目的や定義が明確でないと、5Sは単に綺麗にすることといった部分的理解や誤解が生じて、
活動の成果が上がらないと言ったことになりかねません。
そして、いよいよ実戦にあたり、組織を決めて実施計画を策定します。
組織や実施計画を決めずに活動を進めると、
活動が形骸化される恐れがあります。
その会社にとっての、
5Sの必要性、目的、意義、実施計画、組織体制、評価指標を明文化して、
5Sを確実に遂行する基盤となる基本方針を
設定することは非常に重要なプロセスです。
第2段階 基本教育
第2段階は、組織の全員が基本方針の意味を理解し、
共通意識を持つために行う教育活動全般を指します。
この段階では、はじめに5S導入教育を行います。
具体的には「5Sの目的と定義」、
「5Sの対象と観点」、
「チェックシートの使い方」、
「改善活動と5Sの関連」を学習します。
次の第3段階に入っても
継続的に教育を実施することで5S活動の継続的な定着を図っていきます。
第3段階 具体的活動
第3段回は5S活動の実践となる具体的な活動になります。
具体的活動は3つの活動からなります。
最初は、組織全員で現状を確認でき、「整理」を実践できる
赤札作戦を動機付け活動として推奨します。
次の段階は、本格的な5Sの実践を行う組織的活動と自主的活動です。
この二つの活動は同時並行で行います。
動機付けと同じ実施メンバーが「揺らぎをなくす」
という同じ実施目的で活動を行います。
違いは、活動のテーマを組織から与えられているかどうかです。
組織的活動は、組織からテーマが与えられ、トップダウン的に行う5S活動です。
一方、自主的活動は、作業現場ごとにテーマを設定して実施する、
ボトムアップ式の5S活動です。
どちらの活動も、3S「整理」「整頓」「清掃」を継続的に実施しすることで揺らぎをなくし、
そこで達成された状態に、揺らぎが発生していないかを、
2S「清潔」「躾」で確認し、揺らぎが再発生しないようにしていくという活動になります。
具体的な実施にあたっては、チェックリストの使い方などの5 S の知識を十分に活かしてください。
また、この5 S の具体的活動の段階で、
状況の把握、5 S 活動の進行度確認、問題点・改善点を可視化するために、
定点撮影を活用することをお勧めします。
第4段階 評価活動
第4段階は評価活動です。
これは、5 S 活動が組織に定着し、
確実に成果をあげていくために必要なプロセスです。
具体的には第1段階から第3段階までの全ての活動に対して、
成果を平等に評価し、課題に対するフィードバックを行います。
評価は、5 S 推進室の評価チームが行います。
ここでも、状況の把握、5 S 活動の進行度確認、問題点・改善点の可視化のために、
定点撮影を活用することをお勧めします。
第1段階から第4段階までの5 S 活動によって、職場は揺らぎのない状態になります。
第5段階 改善活動
第4段回で、その工場にはムリ・ムラ・ムダのうち
改善活動を阻害するムラがなくなります。
ムラが無くなったところで、生産性の向上を目指し、
改善活動へと発展させていく第5段階へと進んでいきます。
今回は、5S実践のプロセスについて解説してきました。
次回は、組織的活動の重要性について解説します。